
年金の給付水準は、厚生年金については、現役の賃金の一定割合(6割程度)を保障するという考え方に、基礎年金については、老後生活の基礎的な部分を賄うという考え方に立って設定されており、高齢化と年金制度の長期的安定を図るため、平成6年(’94)に年金改正が行われ、前回改正以降の生活水準の向上等に応じて年金額の改善が行われました。
今回の改正の主なポイントしては、
?60歳台前半の厚生年金の見直し
?年金額の改善
?遺族年金、障害年金等の改善
?保険料の改定等
?その他が挙げられます。
このうち、障害年金の改善では、まず、20歳前障害の所得制限については、これまで、年収4,832千円(平成6年度2人世帯年収)を超えると全額停止となってたものが、障害者の就業意欲に配慮して、これを超えても年収600万円(2人世帯年収)以下の場合には、年金額の1/2相当を停止する2段階制とすることとしました。
次に、これまでは3年以上障害等級に該当しない場合は年金が失権となっていましたが、内部障害等ではその後遺症が悪化するケースもあることに鑑み、これを支給停止として、再び障害が悪化した場合は年金が支給されるようになりました。
また、昭和61年(’86)4月以前に障害となり、加入し保険料拠出を行ったが当時の支給要件に該当しないものについて、現在の支給の支給要件(加入期間の1/3を超える滞納がないことなど)に該当する場合には、障害基礎年金を特例的に支給することとしています。
更に、障害基礎年金の支給要件の特例措置(直近1年間に滞納がないこと)の平成17年までの延長を行うこととしています。
一方、今回の改正において、21世紀の高齢社会に向けて、60歳までは賃金(雇用)を中心に、65歳以降は年金を中心に生活設計を行う時期と位置付け、60歳から64歳までの60歳台前半は、賃金と年金で生活を支える時期と位置付けています。
このため、60歳台前半の年金は、本格的に年金生活に入る65歳以降とは「別個の給付」とするとともに、在職老齢年金についても就業促進的なものに改め、更に雇用保険と年金の調整を行うこととしています。
60歳台前期の者に支給する個別の給付については、報酬比例部分相当額として、男子については、平成13(2001)年度から平成25(2013)年度にかけて、女子については男子より5年遅れで平成18(2006)年度から平成30(2018)年度にかけて、現行の給付(定額部分十報酬比例部分)から段階的に切り替えることとしています。(表17)
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